http://www.good-voice.co.jp
Saida Ear,Nose & Throat Clinic
Voice Tec Vocal Art Science Laboratory

さいだ耳鼻咽喉科気管食道科クリニック
ヴォイステック音声研究所


院長 プロフィール


斉田 晴仁 (さいだ はるひと)


医学博士
日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道科学会認定医
CoMeT(Colegium Medicorum teatri)(国際劇場医)会員
昭和大学医学部耳鼻咽喉科兼任講師


 昭和大学医学部卒、同耳鼻咽喉科教室へ入局。日赤医療センター耳鼻咽喉科研修医,城南総合病院耳鼻咽喉科医長を経て、198412月イタリア留学。パヴィア大学耳鼻咽喉科では、Galioto教授のもとに喉頭癌手術を、パードヴァ大学では、Croato教授のもとに音声言語医学ならびに歌手の音声障害を、Torino大学では、Schindler教授のもとで、オージオロジーならびに歌手の音声障害について研修した。
帰国後、昭和大学医学部耳鼻咽喉科助手、
都南総合病院耳鼻咽喉科医長関東労災病院耳鼻咽喉科医員、丸山記念病院耳鼻咽喉科部長、あそか病院耳鼻咽喉科医長を経て、19964月 さいだ耳鼻咽喉科気管食道科クリニックを開院。同時に声の科学的な研究を行うヴォイステック音声研究所を併設。
199010月〜19949月 東京大学医学部音声言語医学研究施設の特別研究生として、廣瀬肇教授に師事、【変声期の音声と身体発育について】日耳鼻596-605,93(4),1990 にて昭和大学より医学博士を取得。19931月より昭和大学医学部耳鼻咽喉科兼任講師として、旗の台病院においても音声外来を担当し、後進の指導を行っている。



音楽暦   幼少より声楽、オペラに興味があったが、医師になる道を選ぶ。耳鼻咽喉科教室入局と同時に、当時の岡本途也耳鼻咽喉科教授の寛大なご配慮により、二期会 オペラスタジオ30期研究生のテノールとして、歌いながら耳鼻咽喉科の研修をすることを許される。イタリア留学中は、大学病院から帰宅後、ミラノ・スカラ 座の立見席に並ぶ毎日。またトリノなどでは、昼間、病院の教授診察で会った大歌手のオペラ公演を、夜招待席で見ることもしばしば。楽屋医なるものも研鑽。自らも Maestro Nino Scattolini など往年の名歌手の個人レッスンに通うこと 200回を超えた。
帰国後は、コンサートなどに出演。
最近では、
あなたの声を良くするレクチャーコンサート を行い、声の健康の啓蒙運動を行っている。

歌い、研究し、診察するのがモットー

机の上だけの研究だけではなく、舞台に立って歌い、その声の不思議を研究し、さらに診療に生かし、
患者さんに還元するのが大切と考えています。歌手、俳優などパフォーマーの立場に立った診療を心がけています。
あらゆる声を大切にしている方の声の悩みの相談に応じたいと思います。


クリニック 診察室にて 


2005年6月 ローマ世界耳鼻咽喉科学会 エクシビション 医師l歌唱大会にて歌う



イタリア留学時 声楽の恩師 Maestro Nino Scattolini と、イタリア ベルガモ のドニゼッティ劇場前にて






    私のプロフェッショナルボイスに対する考え方
           芸能医学の必要性


現在、職業として声を使う方は多く、またその種類も多岐にわたっています。その中でも特に歌手、俳優、声優、邦楽家など芸能家の方は、プロフェッショナル ボイスとしての声を使うことにより、社会貢献をされ、伝統文化の継承や新しい文化の創造をされています。これらの方々の声のトラブルの原因は、個人の声の 管理の不注意だけではなく、仕事を一緒にする関係者の、声の健康に対する認識度の低さや、また声を使うさまざまな環境の不具合によることもあります。した がって一個人の芸能家の声のトラブルといっても、周りを取り巻く環境問題など、もっと大きな視野でとらえて対処しなければ、根本的な解決にならない場合も あります。

スポーツ選手の心身のトラブルに関する学問は、現在スポーツ医学として認知されていますが、芸能家についての心身のトラブルは、現在まだ一般と同じ取り扱いをされていて、特殊性はあまり考慮されていない傾向にあります。

私は芸能家については、その特殊性を医学的な観点から研究し、支える分野の学問、すなわち芸能医学が必要だと思っています。これにより芸能家の方々が無理 な労働で健康を害することなく、心身の健康を維持し、健全な文化を継承し創造できるのではないかと思っています。

芸能医学には、多くの分野がありえますが、舞踏家などの身体、四肢の問題と歌手、俳優など声の問題、さらに精神、心の問題があると思います。耳鼻咽喉科専 門医としては、声の問題についての窓口となりますので、この点についてもう少しわかりやすくご説明しましょう。



声楽家、オペラ歌手、民謡歌手などの方は、いかに効率よく良い声を出すかが大切です。
ちょうど フォーミュラ 1 のサーキット走行のように、良いエンジン(声帯振動)、良いタイヤやサスペンション(足腰の支え)、良いガソリン(充分な呼 気)などが必要で、これを整備するのは、サーキット走行を良く知っている(歌唱経験のある耳鼻咽喉科の専門医)整備士でなければなりません。ドライバー (歌手)は、ディレクター(指導者)の指示に従い、運転(発声)しますが、ディレクター(指導者)は、車の細部の状況については良く把握できないため、専 門家の整備士(声の専門医)に聞きながら作戦を立てると良い結果がでることになります。車が走るサーキット(劇場など音響環境)が悪いと、良い車や良いド ライバーでも故障を起こすことになりますので、環境の整備も重要です。





歌歌手、邦楽家、俳優、声優、教師などの方は、前述の声楽家などの方より、さらに過酷な声の使用を強いられることになります。ある時は、声帯を強く合わせ大きな声を出したり、いろいろな音色の声を出したりで、エンジンや足回りに負担をかけることになります。
ディレクターの方は常に、車とドライバーの状況に気を使いながら整備士(声の専門医)と連携をとり指示を出し最後まで無事に走れるようにします。


私なりに解釈した声を酷使されている芸能家の方の環境がお解りになったでしょうか。これは、声楽科の学生さんやコーラスの団員の方でも当てはまるでしょう。

声 の臨床の最前線で現在、悩むことは、指導者の方、習う立場の方が声の健康についての知識に乏しいということです。習う方は声を悪くしていても、その自覚が なく、教える方も医学的な声の健康の知識に乏しいため、本人に合っていない発声法を指導者の方が強いることで、病状を悪化させてしまうことがよくありま す。指導者によっては、医師のアドバイスも聞き入れず、非科学的な経験論的な方法で、病状を取り返しがつかない程悪化させてしまうこともあります。これ は、声にかかわってきた耳鼻咽喉科医師が、芸能を勉強しないで安易にその場しのぎのステロイドを投与して、とりあえずその場をつくろってきたことことにも 原因があるかもしれません。
今後は、医師、指導者の方が芸能医学という一つの土俵で研究し教えあう姿勢がますます必要になってくることと思います。


(このような観点より、声の健康の啓蒙運動ということで、”あなたの声を良くするレクチャーコンサート”は開催されています。)

当院では、現在多くの(来院されたことのある)指導者の方で、ご紹介のあったお弟子さんの病状、声帯画像をメールにて指導者の方へ直接情報提供し指導に役立てていただくようにしており、良い結果がでております。


関係者、指導者の方々のいっそうの理解が得られ、より良い環境で声に関わる文化が発展していくことを願っています。
声の治療を行い芸能医学の一旦を担うという立場から、あらゆる芸能活動や声に関わる文化活動を支援したいと思っています。

                                                        斉田 晴仁

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